制度の内容は2026年11月にJTI公式サイトで確認したものです。最新の条件はJTIにご確認ください。
この記事の結論
- マイホーム借上げ制度は、住まなくなった持ち家をJTIが借り上げ、ほかの人に貸して家賃を払う仕組みです。
- 最初の入居者が決まった後は、空室になっても決められた家賃が支払われます。
- 原則50歳以上が対象で、家は売らずに持ち続けられ、将来戻ることもできます。
向いている人:住み替え後も家を手放したくない人、売却査定が低かった家の持ち主、転勤などで家を空ける人
向いていない人:すぐにまとまった現金が必要な人、貸すために大きな改修が必要な家の持ち主
「マイホーム借上げ制度」という名前を聞いたけれど、どんな仕組みで、自分の家が使えるのか分からない。そんな方に向けて、制度の全体像を公式情報にもとづいて整理しました。
仕組み、利用できる人と家の条件、かかる費用、申込みの流れ、注意点まで、この記事で一通り分かります。
マイホーム借上げ制度とは?3行でわかる要点
マイホーム借上げ制度は、住まなくなった持ち家を家賃収入に変える公的な仕組みです。運営しているのは、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI)です。
JTIは国の支援を受けた非営利の法人です。持ち主から家を借り上げ、JTIが貸主になってほかの人に貸します。持ち主は家を売らずに持ち続け、JTIから家賃を受け取ります。
要点は次の3つです。
- 家を貸す相手はJTIなので、入居者とのやりとりはJTIが行います。
- 最初の入居者が決まった後は、空室になっても決められた家賃が支払われます。
- 入居者とは原則3年の定期借家契約なので、将来、家に戻ることもできます。
マイホーム借上げ制度の仕組み|JTIが借り上げて転貸する
持ち主・JTI・入居者の関係
この制度では、持ち主が入居者と直接契約しません。お金と契約の流れは次のとおりです。

- 持ち主 → JTI:家をJTIに貸します(借上げ)。
- JTI → 入居者:JTIが貸主になって入居者に貸します(転貸)。
- 入居者 → JTI → 持ち主:入居者はJTIに家賃を払い、JTIが持ち主に家賃を支払います。
運営するJTIとは|非営利の法人と国の基金
JTIが持ち主に支払う家賃には、一般財団法人 高齢者住宅財団に設けられた国の基金による債務保証が付いています。万一、JTIが家賃を払えなくなった場合に備えた仕組みです。
民間の会社が家を借り上げる「サブリース」と形は似ていますが、運営するのは非営利の法人で、国の基金が支払いを支えている点が違います。
借り上げた家は、主に子育て世代へ貸し出されます。広い家を必要とする世帯に、手ごろな住まいを届けることも制度の目的です。
主な特徴・メリット5つ
1. 終身で借り上げてもらえる
借上げは原則として、持ち主本人と同居する人が亡くなるまで続きます。持ち主から終わらせない限り続く仕組みです。戻る時期が決まっている場合は、期間を指定して借り上げてもらうこともできます(原則5年以上)。
2. 最初の入居者が決まった後は空き家保証
1人目の入居者が決まった後は、空室になっても決められた家賃(空室時保証賃料)が支払われます。家が貸せる状態である限り、借上げは続きます。
ただし、保証が始まるのは最初の入居者が決まってからです。また、空室時保証賃料は原則として毎年見直されます。
3. 国の基金による家賃の債務保証
JTIが支払う家賃には、国の基金による債務保証が付いています。持ち主にとっては、家賃の受け取りが途切れにくい支えになります。
4. 3年の定期借家なので家に戻れる
JTIは入居者と、原則3年の定期借家契約を結びます。定期借家は、期間が来ると契約が終わる賃貸契約です。
そのため、制度の利用をやめて家に戻りたくなったときも、最長で3年待てば家を取り戻せます。やめるときは、JTIに解約の通知書を出します。
5. 入居者とのやりとりはJTIが担当
家賃の未払いや部屋の破損など、入居者とのトラブルにはJTIが対応します。持ち主が入居者と直接やりとりすることは、原則としてありません。入居者が出た後は、JTIが原状回復して家を返します。
マイホーム借上げ制度の利用条件|対象になる人と家
利用できる人(原則50歳以上)
原則として、50歳以上の方が対象です。日本に住む50歳以上の方(国籍は原則問いません)と、海外に住む50歳以上の日本人の方が利用できます。
50歳未満でも、次のいずれかに当てはまれば、柔軟に判断してもらえます。
- 転勤・転職、海外赴任などで住み替える
- 相続や生前贈与で取得した家で、当面住む予定がなく、申込み時点で空き家になっている
- 「かせるストック」の認定を受けた住宅である
- 定期借地の上の家、または事業目的ではない空き住宅である
- 急な減収で住宅ローンの返済が厳しい(金融機関への相談が必要)
- 起業支援金・移住支援金を受け取る予定がある
対象になる家
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 場所 | 日本国内の住宅。賃貸の需要がある地域なら全国が対象 |
| 種類 | 住むために建てた家(戸建て・マンション等)。最初から賃貸用に建てた家は対象外 |
| 持ち方 | 単独または共有で所有していること。共有の場合は共有者全員の承諾が必要 |
| 耐震 | 1981年5月31日以前に建築確認を受けた家は耐震診断が必要。結果によっては補強工事 |
| 建物の状態 | 申込み後にJTIの建物診断を受け、重大な劣化があれば補修する |
| その他 | 土地の所有権か適法な権利があること、建築基準法等に違反していないこと、火災保険に入ること |
築年数が古くても対象になります。JTIが借り上げている家の約6割は、築30年以上です。
費用・手数料と受け取れる家賃
相談でいちばん多いのは「貸し出すまでに、どれくらいお金がかかるのか」という不安です。かかる費用と、受け取れる家賃を分けて整理します。
貸し出すまでにかかる費用
| 費用 | 金額・負担 |
|---|---|
| 申込手数料 | 18,700円(税込) |
| 建物診断(耐震診断・劣化診断)の費用 | 持ち主の負担(金額は家によって異なる) |
| 補強・改修工事の費用 | 必要な場合は持ち主の負担 |
| 火災保険料・賃借権の登記費用 | 持ち主の負担 |
いちばん大きくなりやすいのは、補強・改修工事の費用です。古い家ほど、耐震補強や設備の修繕が必要になりやすくなります。
修繕の費用は、先に家賃の一部をまとめて受け取って充てる方法も選べます。手元の資金だけで用意する必要はありません。
受け取れる家賃と手取りの目安
家賃は、地域の賃貸相場や建物の状態をもとに、JTIの協賛事業者などが査定し、JTIが承認して決まります。
持ち主の手取りは、入居者が払う家賃の約85%です。残りの約15%のうち約5%は協賛事業者の管理費、約10%はJTIの運営費と空き家保証の準備金です。
家賃は毎月10日に、持ち主の口座へ振り込まれます。
家賃が支払われるのは、最初の入居者が入居した日からです。申込みと同時に支払いが始まるわけではありません。
JTIによると、10年以上この制度を利用している方の平均の総手取家賃は1,000万円を超えています(JTI公式サイト、2026年11月確認)。
受け取った家賃は不動産所得になり、確定申告が必要になる場合があります。個別の扱いは、税理士や税務署にご確認ください。
あわせて読みたいマイホーム借上げ制度の手数料と手取り家賃|費用の内訳と計算例
手取りの計算例と、改修費を取り戻すまでの年数を確かめたい方へ
申込みから入居までの流れ(9ステップ)
JTIのご利用ガイドに示された手順は、次の9ステップです。
出典:JTI「マイホーム借上げ制度 ご利用ガイド」(2026年11月確認)
かかる期間は、家の状態や工事の有無によって変わります。
あわせて読みたいマイホーム借上げ制度の申込みの流れ
相談から入居までの手順と、準備することを確認する
マイホーム借上げ制度のデメリット・注意点と向かない人
便利な制度ですが、合わない場合もあります。申込み前に知っておきたい点をまとめます。
収入
家賃は最初の入居者が入居してから
申込み後すぐに収入になるわけではありません。
手取り
手取りは家賃の約85%
自分で貸すより割合は下がりますが、その分、空き家保証と入居者対応が付きます。
保証
空室時保証賃料は毎年見直し
保証される金額は固定ではありません。
費用
貸す前の改修費がかかることがある
古い家ほど、耐震補強や修繕の費用が大きくなりやすいです。
設備
残した設備の故障は持ち主の負担
エアコンやトイレなど、家に残した設備の修理は持ち主が負担します。
よくあるご相談パターン
運営者がJTIで見てきた、よくあるご相談のパターンです。特定の方の事例ではありません。
合いやすい例
築25年ほどの家。子どもが巣立ち、夫婦で住み替えたい
家は手放さずに貸し、家賃を住み替え後の暮らしに充てる
合いやすい例
転勤が決まり、しばらくのあいだ家を空けることになった
空ける間だけ貸し、戻るときは入居者の契約満了を待つ
うまくいかなかった例
古い家を貸そうとしたが、貸せる状態にする改修費が高額だった
改修費が見合わず、売却など別の方法と比べることにした
改修費が見合わない場合は、売却などほかの選択肢と比べて考えるのがおすすめです。
あわせて読みたいマイホーム借上げ制度のデメリット7つ|向かない人と対策
申込み前に、収入・費用・将来の注意点を確かめたい方へ
売却・自分で貸す場合との違い
住まなくなった家の活かし方は、借上げ制度だけではありません。代表的な方法と比べると次のとおりです。
| 方法 | 家を持ち続けるか | 収入の形 | 空室のとき | 家に戻れるか |
|---|---|---|---|---|
| 売却 | 手放す | 売却代金を一度に受け取る | ― | 戻れない |
| マイホーム借上げ制度 | 持ち続ける | 家賃(手取りは約85%) | 最初の入居者が決まった後は規定の家賃 | 最長3年待てば戻れる |
| 自分で貸す(管理会社に任せる) | 持ち続ける | 家賃から管理費などを引いた額 | 原則として収入なし(保証付きの契約もある) | 契約の種類による |
すぐにまとまったお金が必要なら売却、家を残して収入を得たいなら借上げ制度や賃貸が候補になります。どれが合うかは、家の状態や今後の暮らし方によって変わります。
あわせて読みたい住まなくなった持ち家どうする?売る・貸す6つの選択肢を比較
よくある質問
Q. 家賃はいつから受け取れますか?
最初の入居者が入居した日から支払われます。申込みと同時に支払いが始まるわけではありません。
Q. 将来、自分や家族が住むために家に戻れますか?
戻れます。入居者とは原則3年の定期借家契約を結ぶため、制度の利用をやめたいときは、最長で3年待てば家を取り戻せます。
Q. 築年数が古い家でも使えますか?
使える場合があります。JTIが借り上げている家の約6割は築30年以上です。1981年5月31日以前に建築確認を受けた家は耐震診断が必要で、結果によっては補強工事が必要です。
Q. 50歳未満でも使えますか?
転勤で住み替える場合や、相続した家が空き家になっている場合など、条件に当てはまれば利用できます。詳しくは「利用条件」の章をご覧ください。
Q. 住宅ローンが残っていても使えますか?
ローンが残っていて抵当権が付いている家は、借り上げられるかをJTIが個別に審査します。返済中の金融機関にも、先に相談しておくと安心です。
Q. どんな人が入居するのですか?
主に子育て世代の家族です。入居者とはJTIが契約するため、持ち主が入居者を探したり、直接やりとりしたりする必要はありません。
まとめ
- マイホーム借上げ制度は、JTIが持ち家を借り上げて貸し、持ち主に家賃を払う公的な仕組みです。
- 最初の入居者が決まった後は空き家保証があり、家を売らずに持ち続け、将来戻ることもできます。
- 費用で大きくなりやすいのは貸す前の改修費です。家の状態によっては、売却など別の方法が合うこともあります。
まず仕組みを資料で確かめたい方は資料請求、ご自宅が対象か知りたい方は無料相談をご利用ください。
出典・参考資料
- 一般社団法人 移住・住みかえ支援機構「マイホーム借上げ制度」https://jti.or.jp/lease/(2026年11月確認)
- 一般社団法人 移住・住みかえ支援機構「マイホーム借上げ制度 ご利用ガイド」https://jti.or.jp/lease/lease_guide(2026年11月確認)
- 手取りの割合(約85%)と差し引かれる約15%の内訳、家賃の支払日(毎月10日・振込):当サイト運営者(元JTI専務執行役員)が確認(2026年11月)
借上げ契約は、最初の入居者が決まった時点で成立します。契約成立時点について、当サイト運営者(元JTI専務執行役員)が確認(2026年11月3日)。





